日本でもイーバイクのドライブユニットの種類は増えてきましたね!
そうだね。今後も増えたり、新しいのが出てくるはずだよ。
そうでしょうね。ただ、違いを見るスペック(仕様)がまだイメージつかないんですよ~。
そっかあ。難しいのは省いて、基本的なところを抑えておくといいかもね。
あ、私もトルクとか大きい方がいいのはわかるけど、どれくらいなのかイメージはできてないのよね。
よし、できるだけ簡単に説明してみるよ!
イーバイクドライブユニットの性能とは?
「イーバイク(e-Bike)ドライブユニット」は、もっと一般的に言うと、”電動アシスト自転車のモーターの部分”になります。(もう少し正確には、モーター、電子回路、ギヤなどの部品と、それを覆う筐体を言います。)
バッテリーからこのモーターに電気を流して、ペダルをこぐ時にアシスト(助力)してくれる部分ですので、性能も把握しておきたいところです。
それでは、どんな性能が記載されているでしょうか?
まず、探し方からですが、日本国内の公式Webページですと記載されていない項目もあるので、海外の公式Webページでも調べてみましょう。
すると、下記のような項目で仕様が記載されています。(海外でのイメージ例です。)
全ての項目の意味と数値がどれくらいかのイメージが付く方は読み飛ばして頂くか、他のページを閲覧して下さい。(こちらのドライブユニット比較など)
今回は、
「なんとなくわかるんだけど、もう少しイメージできるようになりたいなあ。あまり難しい計算式とかなくて、ざっくりわかればいいんだけどなあ。」
という方へ向けてお伝えしていきたいと思います!
では、早速 各仕様の項目を見ていきましょう。
ざっと見ると「重さ(Weight(ウエイト))」のkgはさすがにイメージは付くよなあ。
「最大速度対応(Max Support Speed(マックスサポートスピード))」も、km/hが単位として使われていて、時速25キロまでアシストがされるのだろうとわかるなあ。(日本の場合は法律上24km/hまで)
ただ、その他の「最大トルク」、「最大ケイデンス」になってくると、なんとなくわかるけどちょっと?という人が多いのではないでしょうか。
そんな皆さんは良い機会ですので、次をぜひご覧下さい!
トルク(Nm)とは?
イーバイクの性能を示す仕様表に出てくる「トルク」とはどんなものでしょうか?
トルクとは、力学において、ある固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸のまわりの力のモーメントである。一般的には「ねじりの強さ」として表される。
上記が意味(定義)になりますが、言葉だけだと、わかりにくい部分があると思うので、例を示していきます。
下の図のように、右側だけ固定されている棒に”おもり”をのせたときに力がかかりますね。その力が「トルク」と言われます。
次に「トルク」の単位です。
Nm(ニュートンメーター)を使います。どれぐらいの力をイメージすればよいかと言うと、下記の図のように、棒の右側を固定したところから1mのところに、0.1kg(100g)のおもりを置き、棒を下に押す状態にしたとき、固定した部分にかかる力が1Nmになります。(正確には、単位は、N・mが正しく、1N・mは、棒の重さがない前提で、98.07gのおもりを置いたときになります。)
1Nmのイメージができましたか?
でも、ちょっと”おもり”が軽くてイメージが付きにくいですよね。
”おもり”を10倍にしてみましょうか。0.1kg×10(倍)=1kg
すると、こんなかんじでしょうか。
1ℓの水は、1kgの重さなので、イメージは上の図のようになります。
10倍重い物をのせて、棒に力を加えているので、「トルク」も10倍の10Nmになるのはイメージできると思います。ちょっと力が強くかかっていそうですね。
では、次に自転車をイメージしてみましょう。
下図は、自転車のペダルになります。さきほどまでの棒が意味深な形をしていたのは、これにつなげたい意図があったからです!自転車だと、この棒の部分を「クランク」と言います。合わせて覚えておきましょう。
さて、先ほどの水1ℓを乗せた10Nmと同じ力を自転車のペダルで押す場合は何kgの力が必要でしょうか?(クランクの長さを0.2mとした場合)
棒(クランク)の部分の長さが短くなったので、水1ℓよりもっと大きな力をかけないといけないという予測はできると思います。棒(クランク)の長さが1m=>0.2m(20cm)と五分の一になったので、重さは逆に5倍必要とイメージできますね。よって、1kg×5(倍)=5kgになります。
そうすると、5kgのイメージはお米の袋が一番思い浮かぶので、
こんな感じになるでしょうか。これで10Nmのイメージがつきましたでしょうか?最大で自転車のペダルに5kgのお米の袋を置きペダルに力をかけている感じです。ちょっとシチュエーションに無理がありますけれど(笑)!
さて、そろそろ本命のドライブユニットに当てはめていきましょう。
上のスペック(仕様)表から、「最大トルク」が60Nmと読み取れます。
この「イーバイク」のドライブユニットは、最大で60Nmの力でアシストできることになります。今度はかかる力のイメージは逆で、モーターが回りペダルを押す力に変えることになりますが、何kgぐらい押す力をアシストしてくれるでしょうか?
回す力が、お米の袋の10Nm=>60Nmへと6倍になるので、お米の袋の重さ6倍分で5kg×6(倍)=30kgの力で足でこぐ力をアシストしてくれることになります。最大がこの値なので実際はもっと少ないことが多くなります。
ざっくりでわかりやすい数字を使うとこんな感じの説明になります。
もう少し実際に近づけると、クランクの長さは実際は0.17m(17cm)ぐらいが平均ですし、式には0.98を掛ける必要があったりしますので、
60Nm÷0.17m÷0.98÷10≒36kgぐらいが目安になります。あまり、計算に頭を使いたくないと思うので、イーバイクのざっくりイメージの公式を勝手につくっちゃいました。
最大アシスト力(kg)≒ 最大トルク(Nm)×0.6
となります。Nmのイメージもできたことと思いますが、やはりkgのイメージにはかなわないと思う為、こんなざっくり公式も使ってイメージをするのも良いのではないでしょうか。例えば、「最大トルク」が80Nmだと、「最大アシスト力」は80Nm×0.6=48kgぐらいの力となります。仕様表を見る時の参考にしていただければと思います。
ちょっと言い訳)そもそも48kgで押す力は48kgfと表すのが本来だったり、ドライブユニットの中にも内部に比率の違うギヤがあれば異なる結果となりますし、がちがちで追求しすぎると頭が痛くなってしまうので、このへんにしております。
ケイデンス(rpm)とは?
「ケイデンス」という用語はイーバイクだけで使われているのではなく、ロードバイクなどスポーツ走行する方には馴染み深い用語です。
自転車において1分間のクランク回転数のこと。自転車に乗る人がペダルを回す速さを示す。
レースや長距離走では、この「ケイデンス」を計測して、各個人の良い値で一定に保つようにして、最適な走行を行うなどに使われます。
単位としては、rpm(rootations per minute)が使われます。
ロードレースでは、80~120rpmと言われています。人それぞれで奥が深いようですので、ロードレースにおける「ケイデンス」の詳細説明は他の方にゆずることにさせて下さい。
「イーバイク」においては、「ケイデンス」が表示されるディスプレイを持つものもあり、計測値を簡単に見ることができます。スポーツ走行する上で参照にしていただければと思います。
ところで、本題のドライブユニットの仕様に書かれている「ケイデンス」は何を表すでしょうか?
「最大ケイデンス」と記載されているように、これは最大でその回転数の速さまでアシスト力を出せるドライブユニットですよ!と意味します。
上の表を見ると、
「最大ケイデンス」は、90rpmなので、1分間90回転の速さでこぐところまではアシストがされて、それ以上になるとアシスト力が出なくなるドライブユニットですよ!ということです。
この「最大ケイデンス」がどんなところで活きてくるかというと、急な勾配を登るようなシチュエーションでは、ギヤを軽くして回転数を上げて登ることになりますが、この「最大ケイデンス」が低いとアシストが切れてしまうんです。
ママチャリなどの一般のドライブユニット(電動アシストユニット)では、そういったことが起こります。(下写真のような激坂の場合です。)
注意)歩道橋を走行することを推奨しているわけではありません。斜度のイメージです。
それが、イーバイクのドライブユニットなら回転数を上げても「最大ケイデンス」が高いので、アシストが切れない状態で登ることができたりします。(※)前述でお伝えした「トルク」の性能も高く、高トルク発生可能であることも要因です。
【ドライブユニット ケイデンスとトルクの相関イメージ】
上の【ドライブユニット ケイデンスとトルクの相関イメージ】図では、「ケイデンス」を上げていく(右側へ行く)に連れて、トルクが減ってきて0になります。ママチャリなどの一般のドライブユニットではトルクが0になるのが早いですが、イーバイクドライブユニットならトルクは落ちてくるものの回転数を上げてもトルクが出せます。
このように「最大ケイデンス」が高いドライブユニットは、モーターが頑張ってトルクを出せるイメージから「高ケイデンス対応」、「高ケイデンス耐久」などと言われたりします。
特に、e-MTB(イーマウンテンバイク)は、クイックターン後にギヤを軽くして加速したい時や、ほぼ停止状態から急激な登り坂の対応のために、ギヤを軽くしてアシストを使って登りたい状況になったりしますので、この「高ケイデンス耐久」(+高トルク)はより重要になってきます。
定格出力
「定格出力」は、
モーターが定格電圧・定格周波数で、最も良好な特性を発揮しながら連続発生する出力をいいます。
引用:オリエンタルモーター
という意味になります。
単位は「W(ワット)」となります。
イーバイクのスペック表から、定格出力は250W(ワット)とわかります。
日本国内の電動アシスト自転車は、欧州のpedelecというカテゴリーの電動アシスト自転車の規制が250Wまでということと、日本国内の出力基準が欧州より厳しいため、今のところ250Wを超えるものは存在せず、240W~250Wでほぼ一定となっています。
ですので、あまりスペックとして気にする部分ではないでしょう。
まとめ
イーバイクのドライブユニットの仕様の見方をお伝えいたしました。
「最大トルクNm」「最大ケイデンスrpm」「定格出力W」
これらの理解が深まり、仕様(スペック)を見て、どのぐらいかをイメージができるようになっていただけたなら幸いです。
お疲れさまでした!